釈然としない「夕張問題」
財政破綻した夕張市の再建計画の大枠が固まり、各メディアが伝えています。
炭鉱があった40~50年前の市の人口は12万人ほどありましたが、現在は10分の1以下の1万3千人余です。
市というには過疎化しすぎた夕張市が過疎対策として、「石炭の歴史村」というテーマパークを建設し、ホテルやスキー場など
膨大な予算を費やし、失敗して溜まった借金は総額で市の収入の13年分に相当する600億円程度に達したと言われています。
20年以上かけて再建するという再建案の中身は、市職員数の半減や一般職員の3割給与カットを3年実施するという内容の他に、
市民税と所得税を増税し、下水道使用料や保育費の値上げ、軽自動車税や固定資産税の値上げまであります。
行政の当事者の責任は当然として、住民は市会議員を選んだり、市長を選んだ「政治責任」や、
市職員の無謀な計画の責任を被るのは釈然としないに違いありません。
もし、「生ゴミの回収日が半減する」というようなサービスの低下が行われるようになれば、ますます人口が減少し、
観光事業も悪循環に陥るでしょう。他の地域より高い住民税がある限り、企業が進出する可能性も低下するに違いありません。
住民が納得できないのは、テーマパークやホテル、スキー場など、無駄遣いを行った結果、
最も利益を得た為政者や建設業者などの責任を問うことが無いままに増税や公共サービスの値上げ、
質の低下を受け入れなければならない点でしょう。
和歌山や福島など、地方自治体の賄賂行政やそれに群がる建設業者の姿が連日報道されていますが、
自治体が何を行っているか、内容を知ることは難しく、住民が反対したところで成果も限られる現状があります。
こうした財政再建団体の状況が報道されても、滋賀県栗東市のように、新幹線の新駅工事をやめないのが自治体の姿です。
多くの自治体や国自体も同じ様なことを続けており、今後、どのようにチェック機能が働くようにすれば良いのかが今問われている状況でしょう。